『土木設計競技ガイドライン・同解説+資料集』 刊行

『土木設計競技ガイドライン・同解説+資料集』 を刊行する運びとなりました。
ここに「まえがき」を転載したします。

まえがき

人口減少の時代に入り、国土、地域、そして都市のあり方が問われている。いずれの都市や地域においても、 そのアイデンティティを深く見つめ直し、これからの進むべき道を考えざるを得ない。都市や地域の空間的骨 格を形成する道路や街路、橋梁、河川、公園、駅や駅前広場など、かつてはそれらをあたかも機械部品である かのように機能を単純化してとらえ、短期的な経済合理性にもとづく標準スタイルで埋め尽くすことが、なか ば常識とされていた。しかしこれからは、持続可能な社会の構築に向けて、都市や地域をどのようにデザイン し、どのように魅力を高め、どのように人々の愛着や誇りを醸成するのか、その知恵を競う時代である。まさ に行政の見識と手腕が問われている。

本書は、主に行政機関が発注するインフラ施設や公共空間の整備において、場所のもつ魅力を最大限に引き 出すデザインの創造手法として、また、人々の幸福と社会の持続的発展を目指した公共調達手法として、高い 可能性を有する「設計競技方式」を実施する際の参考となるよう取り纏められた手引書である。優れた設計者 の存在だけで優れたデザインが生み出せるのではなく、その前提には、優れたデザインを生み出せる社会的な 仕組みが必要である。そのような制度的基盤のうえに立ってこそ、デザインの切磋琢磨によるイノベーション と洗練、そして人々に親しまれる豊かな空間づくりが促される。

本書の構成は、「第Ⅰ部 原論」、「第Ⅱ部 ガイドライン」、「第Ⅲ部 資料」からなっている。第Ⅰ部では、こ れからの国土・地域づくりにデザインを競い合う仕組みを導入することの意味について、効用・歴史・法律の 観点から述べている。第Ⅱ部では、具体的に設計競技を実施運営するうえで重要な事項を、共通編、実施編、 分野別編に分けて指針を示し、その解説を加えている。第Ⅲ部では、発注機関が内部的に規定する実施要綱、 公募の際の募集要項、その他の様式について、サンプルを集録している。また、実際に行われた14 事例(国 内13 事例、海外1 事例)の具体的内容を紹介している。

本書の作成にあたっては、設計競技に関する最先端の知見をふんだんに盛り込みながらも、発注実務にでき る限り配慮するものとした。それでも実際の運用にはそれぞれの苦労があると思うが、本書を上手く活用して、 わが国の国土、地域、そして都市がより魅力的なものとなるように、これからの時代にあった優れたインフラ づくりと都市、地域づくりに貢献していただきたい。そしてそのプロセスにかかわった市民、行政、専門家ら すべての人々にとって、実りある成長の機会と思いの詰まった大切な場所が増えていくことを願っている。

平成30 年10 月
土木学会 建設マネジメント委員会
公共デザインへの競争性導入に関する実施ガイドライン研究小委員会
委員長 久保田 善明

 

『土木設計競技ガイドライン・同解説+資料集』Q&Aより転載
刊行物案内URL http://www.jsce.or.jp/publication/index.html
書籍詳細情報URL http://www.jsce.or.jp/publication/detail/detail.asp?id=3097

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